先日、店主渋谷とが、インドへ布を仕入れに行ってきました。
5000年に及ぶといわれる染色の歴史を持つインド。
悠久なる歴史から紡ぎ出される高尚な文化と、街の喧噪、怒濤のごとく溢れる人、人、人…。
その全てが確固たる存在感をもちながら混ざり合い、不思議なハーモニーを奏でて成り立っている気がします。
今回ブログでは菊池が、インド旅行記をお届けします。
第1日目
夜、タイ経由でデリーに降り立ちホテルへ到着。
荷物を解いたときにはすでに日付が変わっており…
明日からの布達との出会いに胸を膨らませつつ、就寝…。
第2日目
終日ニューデリーの布屋さんで布探し。
一日に6~7件のお店へ行くのですが、どのお店でも、年に2回訪れる私たちのことをきちんと覚えていてくれて、うれしい再会に盛り上がります。
インドの人は数学的知能がとても高いらしく20×20までの九九を暗記しているといいますが、記憶力が非常によいと思います。前回はこの布をこれだけ買った、などと本当によく覚えていて驚かされます。
たくさんの布の中から素敵な帯に仕上がりそうなものを探しだし、メートル単位で仕入れます。
ポイントは、写真のように帯の寸法に布を置いてみることです。
どうです、帯になったときのイメージが涌きませんか?
今回メインに仕入れたものの一つに、インドの東部ウッタル・プラデーシュ州のベナレス(ヴァラナシ)という街で織られたベナレスサリーという絹サリーがあります。
ガンジス河が流れる聖地として有名な所ですが、古くから織物産業の中心地として栄え、織物に従事するカーストが多くいます。今回は行かなかったのですが、私が以前(10年近く前になりますが)行った際には、ガンジス河を取り巻くように人々が生活し、生きる者と死にゆく者が同じように受け入れられていることに、とても衝撃を受けました。
河のほとりで河を眺めていると、木を組んで作られた簡素な担架で次々と死者が運び込まれ、川辺の火葬場で薪を組んで火葬されます。その周りでは、子供達が遊び、犬達が戯れ、牛が草を食し、死を待つ老人が道に横たわっています。
数時間後、遺灰は河に流され、聖地を目指して長旅をしてきた巡礼者達はその河で身を清め、水を壺に入れ大切に持ち帰ります。当たり前のように繰り返されていくその営みに、ショックを受けたものでした。
そんな聖地で織られたサリーは、深みのある地布に金糸や銀糸、いくつもの色糸が織り込まれたとても繊細なサリーです。
一枚を織るのに2ヶ月程かかるものもあるそうで、その長い行程を思うと溜息がでます。現在アトリエではそのサリーから何本かの素敵な帯が仕立て上がっていますので、店へお寄りの際には是非ご覧頂ければと思います。
インド仕入旅行はまだ続きます。
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