柳に蹴鞠と燕文木綿の単衣 松原与七作
着物24-05-50
ご売約済
これは松原与七さんの全盛期の作と思われます。
地白の場合、型紙を2枚使う「おっかけ型」という難しい技法を駆使します。
例えば、蜘蛛の巣にかかった蝶々を想像して下さい。
まずおもがたという1枚目の型でこれを糊で型置きします。
その上にけしがたという2枚目の型で、蜘蛛の巣と蝶の微細な部分を再度糊置きします。
すると蜘蛛の巣は重なる所だけ糊が残り、引き染めするとドットだけが残ります。
つまり、これらは全てを型紙でやってしまったのです。
単衣の場合、この糊に朱粉というものを加えて裏に写し、裏から再び同じことを繰り返します。
木綿だから、糊が乾くと縮みが出るでしょうし、乾かないと板上で返せないでしょうし、そこまでは想像を超えます。
繊細でピリッと張り詰めた中にも繊細で情緒溢れる、与七さんの至宝ともいうべき作品です。