新春もおしゃれなお支度で多くのお客様にご来店いただいています。
こちらのお客様は、優しい色合いの無地の結城に、大変貴重な紅花染の江戸裂を合わせた装い。小袖から作っています。
上品な松と梅が清々しいですね。
次のお客様は、必ずお正月にはお召しになるという訪問着。笹と戯れる犬が可愛いですね。アンティークのお着物は意匠に驚かされます。
次のお客様は、素晴らしい画風の梅のお着物に、格調高い古鏡の刺繍帯。
素敵な装いで、店内華やかに賑わいました。
ぜひ、みな様もお着物でお出かけ下さいませ。
明日からまた寒くなるようですが、新年を迎え日差しは着実に暖かさを増しているように感じます。コートの下や厚手のストールを巻いて、軽やかな羽織はいかがでしょうか?
黒地基調の羽織はとても便利。明るいベージュと薄グレーの色紙模様に枯葉が描かれていますが、あっさりとした色遣いなので意外と長い季節も可能だと思われます。錦糸も入ってとても上品です。
23−12−16 裄1尺7寸分(66.29cm)袖丈1尺4寸(49.24cm)身丈2尺5寸(94.7cm)55,000円
次は金茶と深い紫に染め分けられた横段に、菊のような花があしらわれています。少し袖が長いのがエレガント。
裄1尺6寸5分(62.5cm)、袖丈1尺5寸5分(58.71cm)、身丈2尺5寸(94.7cm)30,000円
松と松ぼっくり、ぼかしも入ったシックな羽織。おめでたい柄ですが抽象的にデザインされていて、小紋柄ですのでちょっとしたお出かけにも。
羽裏の美しさもご覧に入れます。
裄1尺7寸5分(66.2cm)、袖丈1尺3寸2分(50cm)、身丈2尺5寸(94.7cm)55,000円
最後に昔の絞りの羽織。とても軽い着心地です。紫色が微妙に何色かで染め分けられています。
裄1尺6寸5分(62.5cm)、袖丈1尺2寸(45.56cm)お袖は短めです。20,000円
いかがでしょうか?灯屋2おすすめの軽やかな羽織たち。
ぜひ、店頭で、又は通販でお確かめ下さい!
金額は全て税込です。
明治時代に外国から“洋服”が入って、それまでの日本のきものを“和服”と呼ぶようになったようです。洋服は様々な形の組み合わせでできていますが、和服は原則同じ形のものの重ね着、と言えましょう。だからこそ袖の振りや袖口からこぼれて見える襦袢の色や柄に着る方の個性やおしゃれ心が発揮できるのかもしれませんね。
平安時代を代表する「女房装束」は大きく開いた袖と長い引き着の裾から、下襲の色目が順々にのぞいています。これを“おめらかす”というようです。
おめらかす=ずらす、すべらす、衣装などの表の端に下襲の端をのぞかせる、という意味だそうです。
その色襲には美しい名前がついて、季節ごとの決まりもありました。
(福田邦夫「日本の色」主婦の友社刊より)
アンティークのお着物や羽織はとても素敵ですが、どうしても裄がたりない、という困ったところがありますね。現代の長身でスタイルの良い女性には悩みのタネ、というところです。多少のことなら上手な着方でうまくごまかす(?)技もいろいろあるようですが、ちょっとのぞくぐらいなら「おめらかして」というのはいかがでしょう?襦袢の綺麗な色・柄がほんのすこーしのぞいてもOK?とはいきませんか?
灯屋2では素敵な替え袖をご用意しております。街でのすれ違いに、少しお地味な紬の袖口からチラッと見える色で、道ゆく人をハッとはせる、というのもオシャレな女のお楽しみ!
本年もよろしくお願いいたします。皆さまには良い年をお迎えのことと存じます。
2024年のスタートに重大事件が続き、心騒がしい新年です。被災されました皆様には心よりお見舞い申し上げます。1日も早い復興をお祈り申し上げます。
昨年末丸紅ギャラリーで開催された『「源氏物語」よみがえった女房装束の美』を駆け込みで鑑賞しました。NHK大河ドラマが『源氏物語』に関わるためか、「日曜美術館」でも取り上げられたためか、会場は多くの女性で賑わっていました(男性も少々、着物着用なら入館料無料)。
主要展示は、「若菜」下巻の六条院での女楽(おんながく)の場面。招かれた明石の君の装束を再現したもの、となっています。(「柳の織物の細長(ほそなが)に、萌黄であろうか、小袿(こうちぎ)を着て、羅の裳の目立たないものをつけて・・・」)
光源氏の邸宅六条院で正月に行われた「女楽」、源氏の正妻・女三宮の琴(きん)、正妻格の紫の上の和琴(わごん)に伍して琵琶を担当した明石の君(=源氏の娘を生み、その娘は中宮となり、やがて天皇となる皇子を生んだ)の高雅な装いはその矜持とともに微妙な立場、“身の程”のあらわれた装束なのかもしれません。『源氏物語』の中で装束衣装は大きな役割を持ち、誰がどのような色彩、取合わせを身につけたか、は登場人物のセンスや個性をあらわすだけでなく、政治的な地位、身分、立場、関係性をあらわしています。
柳の細長、萌黄の小袿、表着、重袿、単(ひとえ)、袴、裳−−展示された復元装束は、時代考証を重ね、当時に近い天然染料で染色された極細の絹糸で作られたようです。(染色は吉岡更紗氏の手による)
この時代、紐で結んで身にまとう、ということはなく、下着、上着の区別も現代とは違っていると思われます。あえていうなら、単と袴は下着といってもいいかもしれません。極細の絹糸でおられた衣装は「するすると脱衣が可能」であったようです。
空蝉(うつせみ)が小袿をさっと脱ぎ捨て若き光源氏の手を逃れ、形見の衣装だけを源氏の手に残すことができたのも、そのためであったのでしょうね。
織田桂さんの取材・文・編集による、浦野理一の本格研究書が、刊行されましたので、ご紹介いたします。
この本のサブタイトルなもあるように、浦野理一というと、小津安二郎の映画とセットにして語られたり、雑誌「ミセス」の女優さんの美しい写真の印象が強いのですが、この本は、きめ細かい取材と多くの資料と写真を駆使して、作家の現場に切り込んだご労作といえます。また作家を支えた家庭、染織の職人にも光をあてた貴重なものといえましょう。
彼が明治生まれであること、平成5年まで活動を続けて続けいたことにも驚かされます。広範囲で膨大な仕事は、その作家生命の長さによるところもあると思います。
まえがきに「かつて浦野理一という染織工芸家家がいた〜」とありますが、著者に失礼であることは重々承知の上であえて異を唱えますと、灯屋2の店内には、浦野理一は「かつて」でなくいま現在存在しています。
着物、帯だけでなく、巾着、鼻緒などの中に、浦野が息づいています。浦野理一の布の素晴らしさを実感していただけますので、灯屋2におでかけくださいませ。
(katsura books発行 この本も店内で取り扱っております)