いよいよ季節到来!紅葉のアイテムご紹介

季節外れの暖かさが続きますが、いよいよ今週末からグッと気温が下がるようです。

個人的には寒いのは嫌いな方なのですが、着物好きの方にとっては朗報ですね!各地の紅葉もようやく色づいて行くのではないでしょうか。

そこでご紹介するのは、紅葉模様のアイテムです。この季節限定のおしゃれですが、必ずこの時期には着用する努力をしますので、かえって出番が多くなるのも事実です。

まずご紹介するのは、アンティークの紅葉模様の着物。色味を抑えた紅葉が配されているのが上品です。花筏の地紋が入った錦紗のとても軽やかなお着物です。

合わせているのは、江戸縮緬と鹿の夫婦の刺繍が施された紬の切継帯。黒色で表わした紅葉に合わせて、黒の丸ぐけでシックにまとめて。

襟と帯揚げは幕末明治時代の江戸小紋です。

次にご紹介するのは、紅葉の羽織。こちらはお着物からの仕立てかえ。裄も身丈もたっぷりありますのでおすすめです。

程よい明るさのあるベージュに美しい紅葉が配されています。

絞りの裏地も茜色が大変可愛らしいです。

次にご紹介するのも大胆な紅葉模様の羽織。水に見立てた臈纈染の生地に漆糸で紅葉が織り込まれた大変凝ったもの。葉脈は黄金色。全体の色合いも今見るとかえってモダンに感じます。

少し身丈が短めですので小柄な方にお勧めです。

よく見ると大胆な流水の地紋も入っています。

いかがでしたか?どのアイテムも昔の日本の生糸で作られていて大変軽く着心地が良いですよ。

ぜひ、店頭で、又は通販でお求め下さい。

抑えた紅葉のアンティーク着物:裄1尺7寸5分、身丈4尺 66,000円

森に夫婦鹿の刺繍切り継ぎ帯: 15-2-45  110,000円

ベージュに紅葉の羽織(お仕立て直し) 裄1尺7寸5分、身丈2尺6寸2分 77,000円、

水色に紅葉の羽織(お仕立て直し)裄1尺7寸5分、身丈2尺3寸5分 44,000円 全て税込

 

 

お客様の装い、久々のご紹介。

お陰様で店内は多くのお客様で賑わい、熱気いっぱい。皆様、どうやら「こうげい展」の余韻を楽しまれているようです。着物も帯も充実した店内、ぜひ、皆様もお出かけ下さい。

そんな中、本日は素敵な装いでお越しいただいたお客様のご紹介です。

左側のお客様は細かい亀甲の結城に大胆なペイズリーのサリーの帯。右側のお客様はすっきりとした縞の着物に可愛らしいインド更紗の布をいくつも継いだ当店の継帯。

次のお客様は絹地の紫根染の着物。帯を悩む所ですが、薄紫の浦野理一の無地帯を選ばれて、すっきりと着こなされたエレガントなコーディネート。

そしてこちらのお客様は黒地の大島紬に、立派な丸帯からの作った当店の帯を締められて。大島紬をエレガントに着こなされたお姿。

次のお客様は今の気温にぴったりの亀甲の綿薩摩に、久米島や黄八丈等で作った半幅帯で軽やかな着こなし。ややもするとマニッシュになりがちな細かい亀甲の綿薩摩に、帯の結び方で女性らしさをプラスされています。

そして最後に紫がかったピンクと藍色の縞の着物に、オールドスザニの帯で可愛らしく着こなされたお客様です。ポーズも決まっていますね!

皆様の装い、いかがでしたでしょうか?本当に素敵ですね。

ぜひ、皆様もお着物でお出かけ下さい。

コンサートへのお誘い

「こうげいを探る」展には大勢のお客様にお越し頂き、楽しそうなお顔を拝見できて、我々も嬉しかったです。

「志村ふくみの仕事」講座では、最後にもう少し時間を取ってゆっくりとご覧にいれたかったです。行き場のない余韻が漂って居ましたものね。

最終日にお願いしたカメラの長岡さんの写真は銀座店にダウンロードしてますので、いつでもご覧頂けます。

さて11月ともなると、秋は深まり芸術の季節です。

そこで、みなさまお馴染みの、帯留彫金作家竹花万貴子さんのお嬢さん、加奈子さんのチェロコンサートに行きませんか?

加奈子さんは、源氏物語など自作の曲も多く、お着物でエレガントに奏でたりもします。

ご興味のある方は、銀座店までお問い合わせください。

ENCORE 珠玉の愛奏品集

2023年11月18日(土)17:30開演18:00開演 紀尾井町サロンホール

前売4000円 当日4500円

出演: 竹花加奈子 作曲/チェロ、蓮見明夫 ギター

演奏曲目: 竹花加奈子 オリジナル曲集、クラシック小作品、映画音楽/ポップス/ラテン

 

「こうげいを探る」と染色工芸店「こうげい」

「こうげいを探る」展が間もなくはじまります。タイトル「こうげい」の源は、白洲正子(1910〜98)がかつて銀座8丁目で、1955〜70年のほぼ10年にわたって経営に携わった染織工芸店「こうげい」に由来します。今回の「こうげいを探る」は、灯屋2流の、現代の美とセンスを駆使して、集め再生した逸品を展示し販売する企画展です。

白洲正子は、戦後、昔の職人の技に作家の美的芸術的センスを加えた工芸家という新しいジャンルが生まれた、と記しています。白洲正子の厳しい目で選ばれ鍛えられた白洲正子好みの作家たちのうち、今回ご覧いただけるのは、

柳悦博、古澤万千子、田島隆夫、片野元彦、菊池洋守

などの作品です。それに灯屋好みのコーディネートを施した豪華な取り合わせです。

会場でどうぞご堪能くださいませ。

白洲正子さんの晩年、能楽堂の見所で何度かお見かけしました。イッセイミヤケを着こなし、古代ガラスと思われる指輪、大柄な目立つ容貌のチャーミングな方でした。その目はいつも好奇心に満ちているようで、八十歳を超えておられたと思いますが、さすが韋駄天夫人と呼ばれた面影を十分見せておられました。

自宅の武相荘にお気に入りの客人を招いて団欒の一時を持つのを楽しみになさっていたようで、女主人の体調が悪い時も、酒と肴が用意され、客人は勝手に談笑されていたとか・・・男友達の一人、免疫学者の多田富雄さんから直接伺ったことがあります。亡くなる時も自身で救急車を呼び、入院してそのまま亡くなられた、見事な最期であったと聞いています。

千葉あやの作「正藍染麻着物」

あやの自身で麻を植え、糸を績み、織りあげた布を、あやの自身が種を蒔いて収穫した藍で染め上げた正藍冷染の麻着物。195560年頃の作品。

人工的な加温を行わない正藍冷染は自然発酵可能な初夏にのみ藍立てを行います。

藍神様に見守られ、あやのの手の温もりから織り出される着物は、汚れが目立たず、堅牢で、解毒作用もある、という東北の労働に適した日常着であったでしょう。

千葉あやの(188919801955年人間国宝に認定。 

営業時間変更のお知らせ(10月17日)

営業時間の変更と銀座店臨時休業のお知らせです。

10月17日(火)は15:00閉店とさせていただきます。18日(水)は定休。
10月19日(木)~22日(日) 10:00~18:00(最終日は17:00迄)は銀座洋協ホールにて展示会「こうげいを探る」を開催。会期中銀座店は休業とさせていただきます。
灯屋2銀座店TEL/FAX:03-3564-1191、080-8135-9161(会期中のみ)ぜひ、皆様、洋協ホールへお出かけください。

 

 

志村ふくみ作「藍すじ白十字」多当紙

緻密な藍の縞の中に、白い十字がくっきりと浮かび上がるデザインです。
白と藍が出逢い共鳴しあって、白はより白く、藍はなお深く、浄くて潔い空気感が漂っています。
手に触れる前に、志村さんの糸は、立って何かを訴えてくるようです。
縦の縞と、それを断つ横の線とのずれが、余韻として後を引きます。
ほんとうは、単衣にして、肌で感じてあげたい優しい布なのです。
1982年制作

古澤万千子の着物と帯

白洲正子に愛された染色工芸作家古澤万千子(1933〜)の貴重な作品が「こうげいを探る」展に出品されます。作品数の極めて少ない古澤万千子の着物と帯を3点展示販売いたします。ぜひご来場くださいませ。

 『虫づくし』

             絹地吉野格子織着物。1976年(昭和51)作。

渋木地に型染めの縞、虫たちは顔料で描かれています。

 

 

なんとのびやかな蝶、トンボ、、虫たちでしょう!小さな昆虫に向ける古澤さんのやわらかな目が感じられます。古澤さん好みの茶地に粋になりすぎない縞、白生地に下書き無しで一気に描き上げると言われている古澤万千子独自の手法が遺憾なく発揮された素晴らしい作品です。

 

  「片身がわり梅桜紋」 

                 紬地着物。昭和40年代?作

絞りと型抜きで、梅、桜をあらわし、花の芯には顔料を差しているのではないかと思われます。

突き抜けるような透明なブルーと藍の地に可愛くしっかりとした花を描いた作品は多く、梅、桜、芍薬、牡丹、菖蒲、蓮など多岐に渡っています。桃山風の片身がわりは他にも数点あり、身に纏ったときの効果が充分計算されたモダンな作品です。

 

  『藍地牡丹に蝶』

絞りと型染に顔料を差した紬の帯。

同一の裂がのこされており、1976年(昭和51)作とありますので、この帯もそのころの作であることがわかります。

美しい藍地にユーモラスとも見える蝶が牡丹の花の間を、自由に飛び交う可愛らしく楽しい帯です

企画展「こうげいを探る」アトリエだより〜志村ふくみ作「織部」

古来より、緑は藍に苅安、又はキハダを重ねて出すということが染色技術として確立されていました。その作業の繰り返しの反面、白い糸を藍がめに浸すと、茶から縹色に変わる前の一瞬緑が生まれる、その緑を留め置けない不思議さ。

志村さんの経験と疑問と思考は、自然界における色の意味や、人と色の関係という見えない世界に入って行きました。

「織部」には、「織部段」というもう1枚があり1987年作となってますが、この付け下げはその後の創作とみられます。

織部焼きに見る深い色感とみなぎる力量をここで彷彿とさせ、そこに熨斗目文様という格調

高いテーマ性を加えています。

芝翫茶と常盤緑が交わし合う明晰で知的な色のハーモニー、かわいい絣足と小格子、白場の繊細で清潔感の感じられる繋ぎ糸。

志村さんの覚悟を見る思いがします。