時代の移り変わり

先日少し早目に電車に乗って、日本橋から歩いてみました。
かつての江戸の街並みを想像しながらです。
ビルが林立していますが、気をつけてみると、かつての屋号のような名称が残っています。
少し中に入った通りには、懐かしいような店も残っています。
幻のようではありますが、そこかしこに江戸の気配を感じ、嬉しかったです。

人が集まる賑やかな地ほど、目まぐるしく変化するものです。
同じように着る物の流行も時代を反映します。
そんな帯をご紹介しましょう。

助六由縁江戸桜縮緬名古屋帯帯の中央にくっきりと「三浦屋」の文字。
張見世にはらはらと舞う桜の花びら。
まさに歌舞伎の「助六由縁江戸桜」の世界です。
縮緬地に抑えた色調で染められた、いきな艶っぽさ。
今にも助六と揚巻が現れるような帯です。

助六由縁江戸桜縮緬名古屋帯 帯15-9-47 64,000円
※こちらは展示会商品となり、明日26日より店頭にて展示販売致します。

黄八丈切継ぎ名古屋帯つぎに、さまざまに織られた黄八丈に、更に鮮やかなイエロー。
モダンな切継ぎ帯です。
お洒落なパッケージの煙草やマッチ、歯車などが流行っていたのでしょう。
よく見ると、日めくりカレンダーは11月3日。
明治節の文字もあります。
明治節は昭和前期における祝祭日で、明治天皇の誕生日です。
そのころに作られた布なのでしょう。

黄八丈切継ぎ名古屋帯 48,600円

まるでお洒落に形だけでなく、感情までも込められているような気がしませんか?
どうぞ、今の心で、かつての時代を受けとめていただきたく思います。

海老沢