もうすぐ桃の節句ですね。
灯屋2では、折々の掛軸で皆様をお迎えしておりますが、今はまさにお雛さまの掛軸が飾られています。
実はこのお軸、江戸中終期に活躍した大阪の名高い絵師、蔀関月(しとみ かんげつ 1747~1797年)の作です。
関月は幼い頃から絵の才能は抜群。家業を継いで商売繁盛ではありましたが、絵師になる夢を諦めきれず、とうとう店を人に譲って敬愛する月岡雪鼎(つきおか せってい)に弟子入りしました。
その後、自身の画風を努力をもって大成させ「伊勢参宮名所図会」「日本山海名所図会」など、当時の人々に絶大な人気を誇った各地の名所図会の大家と呼ばれるまでになったそうです。
絵のほかに、詩歌や書道にも堪能だったと言います。
年季の入った木箱(なにしろ江戸期ですから…)の裏に「寛政元」の文字があるところをみると、1789年に描かれたものなのでしょうか。関月42歳の作。
かすかに微笑む目、小さな鼻とおちょぼ口の顔はただ優しく、幼な子を見守るあたたかさが満ちています。
絵におぼえのない私ですが、緩急あざやかな線を自在に操って描かれた(ように見える)立雛さまを見て、高名な絵師が書いたものはやはり線が違う!(ような気がする)と、お軸を前にして一人うなずいておりました。
ご興味のある方は年季の入ったお箱もご披露いたします。
皆様のご来店、お待ちしております。
松田