梅雨空の毎日ですね、いかがおすごしですか。
こんな時期にはお部屋で読書もいいものです。
本棚に並んでいる日本文学の中に、着物が描かれているのをお探しになってみませんか?
例えば先ほどの夏きもの展でも、皆様をとりこにしていた宮古上布。
まえは薩摩上布と呼ばれていました。
ご存知のように、かつては税として厳しい管理下の元に織られていたものです。
明治末期になると締機が導入され今日の製法が確立して生産量が増えました。
その美しさは、世の女性ばかりでなく文豪といわれる作家たちの心をも捉えたようです。
夏目漱石、菊地寛、織田作之助など、名作のなかの登場人物とともに薩摩上布は描かれています。
「白い面長な顔に、黒い長髪を獅子の立髪か何かのやうに、振り乱してゐた。が、頭は極端に奔放であるにも拘はらず、薩摩上布の軸物に、鉄無地の組の薄羽織を着た姿は、可なり流洒たるものたった」
菊地寛『真珠夫人』より
さてさて、物語の世界から目をあげると外の景色は
紫陽花や緑の色がにじむように美しいです。
時には小説の主人公のように着こなしてみたくなりませんか。
たとえば、こんな取りあわせはいかがでしょう。
粋な黒の男縞の宮古上布に、刺繍も華やかな川景色の名古屋帯・・・
しっとりしたこの時節、私の中のとっておきのヒロインが立ちあがります。
宮古上布 97,200円
身丈:4尺1寸3分(約156,5cm) 裄:1尺7寸5分(約66,3cm)
絽名古屋帯 59,400円
丸ぐけ 3,990円
絽帯揚げ 2,310円
露芝刺繍柄絽半衿 9,450円
海老沢