いきなりの豪雨、線状降水帯、などという新しい言葉が天気予報から警告されるような穏やかならざる昨今の日本の初夏、雨が続けば心も閉じがちです。こんな時は鮮やかな色彩の着物に身をつつんで・・・というのも一興ですが、口当たりのさっぱりした、モノトーンに近い色合わせのこんなコーディネートはいかがでしょう?
5000円札でおなじみの小説家・樋口一葉(1872〜96)の妹・邦子の容姿について、作家幸田文にこんなエッセイがあります。
『色白にすらりとして、高い鼻と鮮やかに赤い口をもった西洋人のような美しい人、半襟は男物の黒八を重ね、下駄は糸柾の両ぐりに白鼻緒、地味は粋のつきあたりといったすっきりとした様子』。若くして亡くなった一葉の「日記は焼き捨てよ」との遺言にそむき、姉の残した原稿や小説の草稿、 反古紙にいたるまで全て保存・整理・浄書に努めたと言われます。樋口一葉の研究が質量とも突出しているのは、邦子のおかげであるのでしょう。一葉存命の間は、つねに苦しい暮らしに追われる日々であり、そこから『浮世の砥石にこすられて、才錐の如く鋭い』そして『子を持つ女のやわらかさ』を併せ持つ、たいへんセンスの良い女人であったと伝わっています。
裄たっぷりの粋な万筋の薄羽織も入荷しています。
網目模様小紋 23−05−32 絽網目模様小紋 裄1尺6寸8寸、身丈3尺9寸 60,000円
露芝に虫達の織名古屋 23−06−26 40,000円
万筋羽織 1尺8寸8分、身丈2尺5分