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沖縄の風に乗って…

先週土曜日6月22日から、ここ灯屋2銀座店は沖縄の空気で満たされています。
宮古上布や八重山上布、芭蕉布の着物や帯に囲まれて、スタッフはすっかり旅行気分。
展示してある帯たちを眺めていると、どこからか島唄が聞こえてきそうな気がします。

たくさんある帯から一部をご紹介しましょう。

沖縄の帯

名古屋帯や半幅帯、そして各帯まで、充実したラインアップです。

左:24-06-22 藍太縞の芭蕉交布名古屋帯 276,000円(税込)
右:24-06-31 稲妻文様の藍型芭蕉布名古屋帯 260,000円(税込)

暑い夏も、こんな涼しげな帯があれば楽しく過ごせそう。

沖縄の帯

左:24-06-33 雲取り文様紅型名古屋帯 264,000円(税込)
右:24-06-24 縦縞の芭蕉交布名古屋帯260,000円(税込)

沖縄の帯

上左:24-06-50 翁格子文様交織の名古屋帯 132,000円(税込)
上右:24-06-30 宮古上布の名古屋帯 132,000円(税込)
下左:24-06-38 崩れ格子文様芭蕉布の角帯 154,000円(税込)
下中:24-06-35 大麻に縞建の角帯 88,000円(税込)
下右:24-06-39 小格子文様芭蕉布の角帯 120,000円(税込)

まだまだ、帯も着物もたくさん揃っています。
沖縄を感じに、銀座にいらっしゃいませんか?

まるでモダンアートのよう! 夏の切継帯たち

気温30℃を超える日が続きます。もう夏ですね。

灯屋2銀座店でこのところ人気なのが、夏用の麻の切継帯。
灯屋2のオリジナル帯です。
色々布をコラージュした帯は、まるでアート作品のよう。

麻の切継帯

左上:23-05-25上布継ぎ名古屋帯 110,000円(税込)
左下:22-08-10黒地入りポジャギ風の夏帯 120,000円(税込)
右:23-05-24上布継ぎ名古屋帯 110,000円(税込)

麻の切継帯絣の文様がいろいろ楽しめるのも、切継帯ならでは。
新しい景色が見えてきませんか?

左:22-07-25藍麻地継ぎ名古屋帯 95,000円(税込)
右上:23-07-09細縞と無地の継ぎ名古屋帯 120,000円(税込)
右下;23-05-22上布継ぎ名古屋帯 110,000円(税込)

飾ってずっと眺めていたいくらい素敵な帯たちですが、着物に合わせるとまた違った魅力が出てきそうです。
お手に取ってご覧ください。

 

「沖縄からの贈り物」琉球の布を帯に

 

この1年間、沖縄の古布が、琉装という形で沢山集まりました。

和装きものには戻らないし、みなさまにお届けするのにはやはり帯という形になりました。

琉球王国はその昔、地の利を生かした交易と、明るく開放的な国民性とで、特異な染織文化が花開きました。例えば、南方の島々のほとんどは縦イカットですが、その決まり事に飽きて、緯糸にも入れてダブルイカットが生まれたとか、絣柄は、自然を観察した創作ではなくて、たまたま織ったのが、エサ箱のようだ、銭玉のようだ、と、なってきたようです。

また紅型に緑や紫を加えて、独自の美を加えていきました。

それらはまさに北村哲郎曰く、「質実にして華麗、緻密にして優雅」そのものです。

手元には、喜恕嘉と竹富の芭蕉布、首里の紅型、読谷村花織、上布の刷り込み捺染、宮古上布や八重山上布もあります。

300年の人頭税に苦しめられ、先の大戦で破壊し尽くされて、それでも宝石のように輝く琉球の染織品。

灯屋2では、やはり帯にしてご覧いただくので、末永くご愛用願えれば嬉しいです。

名古屋帯と、半巾、角帯、約20点が22日土曜日に銀座店出荷となります。

詳しくは後日お知らせします。あるいは21日金曜日のホームページをご覧ください。

初めての宮古上布〜あこがれの一枚を気軽に

真夏のお着物の代表、といえば“宮古上布”がまず思い浮かびます。なんとも涼しく、軽やかで、肌触り最高! あこがれの上布は欲しいけど、ちょっと手を出しにくい、とお考えの方に気軽にお手にとっていただける「宮古上布」のご紹介です。

丸く細かく可愛い絣を織り込んだ濃い藍色の宮古上布に濃い藤色(裏面水色)の紗の腹合わせ帯

宮古上布:44000円 身丈3尺9寸5分 裄1尺7寸7分  帯:15000円

幾何学文様の黒地宮古上布とさわやかな青磁色に波紋様の羅の帯


宮古上布:66000円 身丈4尺 裄1尺7寸  帯:25000円

水車文の色絣宮古上布にレンガ色の羅の帯


梅の花のようにも見える水車文の宮古上布。今では貴重な色絣です。
色絣の宮古上布:66000円 身丈4尺5分 裄1尺7寸  帯:30000円

名残りの単衣を身にまとう

新緑が目に眩しい6月、今年の単衣もそろそろ着納めかしら?と思えるくらい夏の暑さが気になりますね。昨夏の暑さを思うとちょっと気重になります。

街角の紫陽花もまだこれから‥‥まだ梅雨入りもしていなかった! 単衣のやわらかさ、気持ち良さをもう一度、心に刻んで2024年の初夏をお楽しみください。アンティークの素敵な単衣もまだまだ間に合います。

藤に菖蒲文様藤色の単衣付下

優雅でのびやか華やかな付下。地紋の透かしが素晴らしい今こそ着どきの単衣

154000円 24−03−26 身丈4尺2寸5分 裄1尺7寸5分

水辺の景色に鴛鴦の三つ紋単衣 蔓帯に葵紋様の名古屋帯

露草色の明るい網手地紋織の楊柳単衣。お祝いのお席にも最適。帯は金銀糸が織り込まれ刺繍も入った格調高い帯

着物:110000円 23−06−12 身丈3尺9寸 裄1尺7寸  帯:80000円 24−05-27

よろけ縞の辛子色小紋に萩と撫子文様の染帯

辛子、クリーム、グリーンの明るいよろけ縞。元気が出そうな小紋にかわいい染帯。お買い物やランチに、心楽しい取り合わせの街着です

着物:22000円 身丈4尺2寸 裄1尺7寸7分  帯:44000円

わさび色の菖蒲の単衣小紋にうぐいす色の無地紬帯

今まさに旬!菖蒲を少しデフォルメしたモダンな小紋に綺麗な無地の帯。梅雨近い鬱陶しい季節にも爽やかな色目の取り合わせ。

着物:25000円  帯:38500円

 

縞の競演ー小千谷縮と明石縮

梅雨空を思わせるお天気が続くと、身も心も少し疲れて、ふーツと息も細くなりそうです。

こんな季節こそスッキリ、粋な縞のお着物でシャッキリ過ごしたいもの‥‥‥夏を代表するお召し物、涼しい小千谷と明石のご紹介です。

細島文様単衣小千谷縮 生成り地に2色の糸を使ってサラッとした縞を織り出した小千谷縮。目にも肌にも涼しい夏衣装。

55000円 24−05−41 身丈4尺4寸 裄1尺7寸

生成り地に経絣文様小千谷縮 生成りに微かな濃淡のある藍色の経糸で、縞の間に雨絣を織り込んだ涼やかなお着物。

44000円 24−06−57 身丈4尺 裄1尺7寸8分

老竹色に白の縞の小千谷縮 縞の感覚が少し大きめなシンプルな軽い着心地のお着物。

66000円 24−05−54  身丈4尺2寸5分 裄1尺7寸5分

黒地に細い縦縞の明石縮 蝉の羽のような透け感のある絹織物、やわらかな着心地の粋な縞です。

22000円 24−05−56 身丈3尺9寸 裄1尺7寸2分

 

西洋というか東洋というか‥‥帯にあらわされた東西の夢

薔薇の香り漂う甘いローズ色名古屋帯

薔薇は近代になってから日本に入って来たと思っていたのですが、「万葉集」の時代からある固有種だそうです。西洋で素晴らしい発達をとげて、今のような多品種になったようです。

35000円 24−05−29

滝縞に唐草文の名古屋帯

爽やかなグリーンの縦縞に濃紫の唐草、唐草文は葉や茎、蔓植物が伸びたり絡んだりした姿を図案化したものの、日本での呼称だそうです。

英語、ドイツ語、フランス語、中国語にもそれぞれの呼称があるようで、世界的な文様のひとつのようです。

44000円 24−05−08

紫陽花と孔雀文様名古屋帯

紫陽花と孔雀の関係は?不思議な取り合わせですね。

いまの紫陽花は日本原種ガクアジサイから改良してできたものとか!

幕末長崎で医療を施し博物学を研究したシーボルトによってこのアジサイをOtakaと名付けられた話は有名ですが、シーボルトの妻お滝さんの名を秘めているというロマンティックなお話もあるようです。

60000円 24−05−12

 

ブリリアントに、やさしく、可愛いく

真夏は着物はどうも‥‥と敬遠される方は多いですが、“夏”こそ着物の良さを実感する時。太陽に負けず女子力アップのチャンス、ブリリアントで、大人かわいい盛夏の着物と帯のご紹介です。

夏でも桜が着たい、桜大好きな方に。本来のピンクは避けて綺麗目ブルーの平絽の小紋とやさしいラベンダー色の紗の織り帯。控えめに金銀糸が織り込まれています。

着物:33000円 身丈1尺 裄1尺6寸5分 帯:16500円

ピンクの撫子の平絽小紋とレンガ色の紗の織り帯のキュートでやさしい取り合わせ

 

着物:20000円 身丈4尺2寸5分 裄1尺7寸5分  帯:20000円

変わりブルーの小千谷縮と秋を先取りの葡萄を描いた麻の爽やかな

 

 

着物:30000円 帯:35000円 23−06−47

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真夏は着物はどうも‥‥と敬遠される方は多いですが、“夏”こそ着物の良さを実感する時。太陽に負けず女子力アップのチャンス、ブリリアントで、大人かわいい盛夏の着物と帯のご紹介です。

夏でも桜が着たい、桜大好きな方に。本来のピンクは避けて綺麗目ブルーの平絽の小紋とやさしいラベンダー色の紗の織り帯。控えめに金銀糸が織り込まれています。

着物:33000円 身丈1尺 裄1尺6寸5分 帯:16500円

ピンクの撫子の平絽小紋とレンガ色の紗の織り帯のキュートでやさしい取り合わせ

 

着物:20000円 身丈4尺2寸5分 裄1尺7寸5分  帯:20000円

変わりブルーの小千谷縮と秋を先取りの葡萄を描いた麻の爽やかな

 

 

着物:30000円 帯:35000円 23−06−47

 

水を得た魚たち

少しずつ暑さが増してくると、水辺のひんやりした空気が恋しくなる、そんなことはありませんか?
そんなときは冷たい水の中をスイスイ泳ぐ魚たちを眺めたら、少しは涼しい気分になるのではないでしょうか。

灯屋2銀座店にも、気持ちよさそうに泳ぐ魚たちがたくさんいます。

24-05-36

着物:萩に鯉の図文錦紗単衣訪問着 154,000円(税込)24-05-36

羊歯の透かし模様が入った文錦紗の生地に2匹の鯉を大きく描いた単衣の訪問着です。
水の中を泳ぐ鯉のそばには萩の花が咲いて、季節の移ろいを感じさせます。

魚群の図名古屋帯 198,000円(税込) 24-03-21

帯:魚群の図名古屋帯 198,000円(税込) 24-03-21

漆の色糸と刺繍で、錦鯉の美しさを見事に表現した帯。
キラキラ輝く鯉はまるで本当に動いているようで、水の音が聞こえてきそう。

青紅葉に鮎の単衣小紋 44,000円(税込) 20-08-03

着物:青紅葉に鮎の単衣小紋 44,000円(税込) 20-08-03

こちらは鮎。
青紅葉が散る水の中を泳ぐ鮎の姿に、暑さが少し和らぐような気がしませんか?

名古屋帯 66000円(税込)

帯:名古屋帯 66000円(税込)

涼しそう、というよりどちらかといえば美味しそう?
カサゴの帯は、白地がすっきりと夏らしくいろいろな着物に合わせられます。

灯屋2銀座店には、もう1組、自由に泳ぐ小さな魚たちがいるのをご存知ですか?

エレベーターホールで、かわいいメダカの一群が季節の花と一緒に皆様をお迎えしています。

 


美貌は“罪”か?(前) 在原業平のDNAは『光る君へ』の政争に至る

天皇家の愛子内親王が伊勢へお一人で参拝され、「斎宮歴史館」(三重県明和町)にも立ち寄られた、というニュースが流れたのは3月の頃でしたでしょうか。

その時「斎宮の恋愛はタブーですか」というご下問があったとか、案内者の答えが「未婚の内親王ですから‥‥」うろ覚えなので正確ではありませんが、もしそうならこれは間違いではないけれど不十分、簡単に言えば「斎宮だから」ではないかしら?

もともと未婚の内親王(天皇の娘)、女王(親王の娘)からしか斎宮選ばれません。斎宮とは、天皇に代わり神の御杖代として伊勢神宮に仕える斎の王伝説の時代を経て鎌倉時代中期まで660年間続いた制度、斎宮は66人を数えます。

愛子様の質問は平安時代初期の「業平(なりひら)と恬子内親王(てんし/やすこ 文徳天皇皇女)との禁忌の恋」を指してしているのでしょう。

伊勢物語の主役、和歌の名手として六歌仙に名を残す業平は、美男の代表としても有名ですね。その根拠は?−−なんと国が選定した公式歴史書『三代実録』に「業平、体貌閑麗、放縦不拘」。国が認めたイケメン、その上「自由奔放で法度に拘らない」‥‥美男で歌の才があり、荒魂の持ち主、ヤワなイケメンではありません。

業平・恬子の後朝の別れののち交わしたとされる和歌

  君や来し 我や行きけむ おもほえす 夢かうつつか 寝てか覚めてか(女)

  かきくらす 心の闇にまどひにき 夢うつつとは 今宵(世人)さだめよ(男)

「伊勢物語」六十九段を基にする伊勢斎宮寮を舞台にしたこの“禁忌の恋”の物語は名歌を生み、のちの絵画や芸能にも大きな力を与えますが、何より業平・恬子の“ひと夜の契り”(いま一度の逢瀬は業平が公用に多忙で果たせなかった)の結果、恬子は懐妊、密かに出産してその子を高階氏に養子として預け、子は長じて高階師尚となったという‥‥伝説?風聞?が平安の宮廷貴族にまた“世人”に語り継がれた、という驚くべき事実があります。

時代が降って、平安中期藤原道長全盛の時代‥‥古き氏族大伴氏、紀氏、賜姓の源氏や在原氏は中央の政治権力から遠ざけられ、藤原氏の一党支配が確立した時代です。

道長が我が娘彰子の生んだ一条天皇の第二皇子を皇太子にのぞみ、亡き中関白道隆の娘定子所生の第一皇子を排除しようとする画策が進んでおり、その理由にこの業平・恬子の伝説が政治に利用された!

藤原行成(道長派)の日記『権記』に「皇后定子の外戚高階氏は斎宮の事によって、伊勢と和せず いま皇子のために怖れるところなきにしもあらず」とあります。

業平・恬子の恋によって生まれた高階師尚が高階家の祖であることから、高階家は伊勢神宮に参宮しない、天皇家の祖である伊勢に対して畏れ多い、ということでしょうか。

現代のフェイクニュースもビックリ!!まさに言いがかり、それがまことしやかに数百年にもわたって密かに(公に)伝わっていたとは!

業平・恬子の物語はなんとも魅力あり、もし二人の間に子があったら?そうであればなんと素敵なことでしょう!

定子の母は高階貴子、百人一首にもその歌(忘れじの行く末まではかたければ今日を限りの命ともがな)はとられている才ある人、その娘定子は大変魅力的な女人であったらしいことは、一条天皇の思いが定子と第一皇子に有ったことでもよくわかります。

伊周、定子、隆家は、高階貴子と道隆との間に生まれた実のきょうだい。伊周は美貌の貴公子でモテ男、隆家は、大陸からの襲撃(刀伊の入寇)に対して総司令官として九州でそれを迎え撃ち、撃退するという、肝の座った人物、業平の荒魂の血を受け継いでいるのかもしれません。

紫式部はこの政治情勢の中で『源氏物語』を書き続けてゆくのですから、恋愛と政治の色濃い関係は現代では考えにくいですね。光源氏は臣籍降下した賜姓の源氏、藤原氏でなく天皇の子が政治の最高権力者に上り詰めるストーリーを当時の宮廷人はどのような気持ちで眺めていたのでしょう? フィクションだから? と物語りを楽しんでいたのかも知れません。光源氏を取りまく恋の物語というだけでなく、実はなかなか政治的な要素の濃い物語なのですが。

もっと降れば、鎌倉の源頼朝を手玉にとった後白河上皇の寵姫・丹後局高階栄子に至るまで業平のDNAはつづいているのかも知れません。