着物紹介」カテゴリーアーカイブ

吉田羊さんのきもの本出版のお知らせです

灯屋2のお客さまでもあるアンティーク着物を愛する女優 吉田羊さんのフォトエッセイ「ヒツジヒツジ」が、7月7日(金)に宝島社より発売されます。

「ヒツジヒツジ」に収録されている71体のコーディネートは、すべて吉田羊さんご自身がスタイリングされたまさにお着物への情熱がちりばめられた一冊。

写真のお着物結城紬と継ぎの創作帯も当店でお求め頂いたお品物ですが、他にも灯屋2でお買い上げ頂いた帯や帯留めも多数ご紹介され登場いたします。

アンティーク着物ファンにもたまらないフォトエッセイ「ヒツジヒツジ」。

ページをめくるのが楽しみですね!

 

梅雨を乗り切る麻の着物

雨が降り、蒸し暑い日が続きます。まだまだ梅雨。

そんな今を乗り切る麻の着物をご紹介します。

渦巻きのような可愛い柄がこんな季節でも気分を明るくしてくれるでしょう。茶縞の麻帯ですっきりと着こなしてはいかがでしょうか。

次にご紹介するのは上質の水紋柄の越後上布。こちらは証布があります。すっきりと合わせたのは、縦絽染帯。丸紋はよく見ると撫子になっています。

23-06-33 赤茶に渦巻きの小千谷縮  60000円 裄1尺7寸8分、身丈4尺2寸5分

22-07-03 茶縞麻帯 60000円

22-06-05 越後上布 88000円 裄1尺7寸8分、身丈4尺、袖丈1尺1寸3分(少し短いです)

23-06-54 三筋花丸紋縦絽帯 30000円

エネルギーいっぱい、創作帯と越後上布

本日ご紹介するのは、新進アーティスト制作の帯シリーズからの1本。こちらは帯に直接描いた海の生き物たち。大胆でユーモラス、まさにエネルギー爆発の作品です。

合わせているのは、縦横手うみの苧麻の越後上布。小格子がやさしい雰囲気ですが、こちらも経てきた時代のエネルギーを今解放させています。

詳細はHPでご覧下さい。ぜひ、店頭で、又は通販でご検討くださいね。

23-06-63 生成り地マダラトビエイ、イカ、鮭、キンポの帯 77,000円

23-06-42 グレー小格子本場越後上布 300,000円 身丈4尺5寸、裄66.5cm  (全て税込)

 

日々の着物

暑い日が続き、すでに夏物をお召しの方も多いことと思います。

7月を前に、いよいよ夏本番の季節です!!

ご紹介の着物は、涼しげな伊予染めの小紋に手書きの秋草柄の染め帯です。

帯はもともと丸帯だったものから名古屋帯へお仕立て直ししたので、染め帯ながらとても華やかな帯です。

帯が主役のコーディネートでさらりと装うのも素敵です。

伊予染めの小紋  33,000円(税込)

身丈:4尺5分(約153.9㎝)

裄 :1尺6寸3分(約61.9㎝)

袖丈:1尺2寸5分(約47.5㎝)

 

秋草柄染め名古屋帯  38,500円(税込)

 

次にご紹介の着物は、籠目文様に萩の小紋です。

青地に白い籠目紋様が大胆で華やかな印象です。

撫子の織り帯で、お稽古事に出かけるのも良いかもしれません。

お茶のお稽古は、この季節、炭の前ではかなり汗をかく頃ですので、目にも涼しいお色目で少しでも過ごしやすい装いで出かけたいものです。

萩に籠目文様絽の小紋  77,000円(税込)  (22-08-08)

身丈:4尺3寸(約163.4cm)
裄:1尺7寸(約64.6cm)
袖丈:1尺3寸(約49.4cm)
袖巾:8寸5分(約32.2cm)
前巾:5寸5分(約20.9cm)
後巾:8寸(約30.4cm)

 

絽地撫子の織り帯  25,000円(税込)

 

銀座の風景〜歌舞伎座公演から

6月歌舞伎の昼の部に出かけてきました。あらゆる意味で話題を呼んだ舞台ですが、前半は、現実とお話しが重なり心揺さぶられ、後半は生きる喜びに共感、まさにライブ感あるお芝居となりました。

生来言葉の不自由な絵師という役どころの主人公の中車さん。師匠に認められるべく精進するも、口下手もあってままならないその夫を助けるのが、猿之助さんの代役を務める妻役の壱太郎さん。二人は不遇を絶望し、死を決意。結果として主人公は師匠も認める絵を描きあげます。

中車さんは今まで抑えていた演技を一気に解放させ、重苦しかった舞台は一転して華やかな踊りの世界へ。描き上げた大津絵の襖から抜き出てきた演者たちが、次々に悪党を懲らしめていく様が実に美しく楽しい舞台となりました。

次は7月公演、歌舞伎座も平常運転となり一幕見も再開とのこと。ぜひ、銀座にお越しの際はお出かけ下さい。お着物でのお出かけだと一層楽しいですね。

 

 

地味(じみ)は粋(いき)のつきあたり

いきなりの豪雨、線状降水帯、などという新しい言葉が天気予報から警告されるような穏やかならざる昨今の日本の初夏、雨が続けば心も閉じがちです。こんな時は鮮やかな色彩の着物に身をつつんで・・・というのも一興ですが、口当たりのさっぱりした、モノトーンに近い色合わせのこんなコーディネートはいかがでしょう?

5000円札でおなじみの小説家・樋口一葉(187296の妹・邦子の容姿について、作家幸田文にこんなエッセイがあります。

色白にすらりとして、高い鼻と鮮やかに赤い口をもった西洋人のような美しい人、半襟は男物の黒八を重ね、下駄は糸柾の両ぐりに白鼻緒、地味は粋のつきあたりといったすっきりとした様子』。若くして亡くなった一葉の「日記は焼き捨てよ」との遺言にそむき、姉の残した原稿や小説の草稿、 反古紙にいたるまで全て保存・整理・浄書に努めたと言われます。樋口一葉の研究が量とも突出しているのは、邦子のおかげであるのでしょう一葉存命の間は、つねに苦しい暮らしに追われる日々であり、そこから『浮世の砥石にこすられて、錐の如く鋭い』そして子を持つ女のやわらかさ』を併せ持つ、たいへんセンスの良い女人であったと伝わっています。

裄たっぷりの粋な万筋の薄羽織も入荷しています。

網目模様小紋 23−05−32  絽網目模様小紋 裄1尺6寸8寸、身丈3尺9寸 60,000円

露芝に虫達の織名古屋 23−06−26  40,000円

万筋羽織  1尺8寸8分、身丈2尺5分

 

紫陽花の季節

雨模様の銀座ですが、雨がこの季節の緑をより美しく見せるようです。

灯屋2銀座店では、スタッフのお庭からつまれたグリーンで店内を設えてお客様のご来店をお待ちしております。

そろそろ紫陽花も満開の頃ですね!

白い可憐な紫陽花や半夏生など、この季節の緑を灯屋2でお楽しみください。

 

紫陽花づくし

梅雨(つゆ)五月雨(さみだれ)、字面の美しさに反して、この季節、晴れ間の少ない長雨は、どうも嫌われることが多いようです。お着物好きには外出をためらう方もいらっしゃいますね。雨コート、雨下駄‥‥いろいろ考えてメンドーになるかも。

でもでもこの一時ならではのオシャレ、アジサイづくしのお楽しみ、可憐な小物も合わせて、お気に入りの明るめの傘で思い切ってお出かけください。

インドア派は、光源氏に想いを馳せつつ、アレコレ「雨夜の品定め」。お友だちを誘って、うわさ話に花を咲かせるのも長雨の夕べの一興でしょうかしら?

紫陽花柄小千谷縮 33,000円 裄1尺7寸5分、身丈4尺3寸5分

黒地入りポジャギ風の夏帯 22-08-10  120,000円

絽紫陽花手刺繍半衿 11,000円

銀細工紫陽花かんざし 各11,000円

パール・ド・ヴェール技法の帯留 各11,000円(全て税込)

蚕起食桑、紅花栄(かいこおきてくわをはむ べにばなさかう)

七十二候によれば、5月後半は「蚕起食桑紅花栄」。蚕は元気に桑を食べ、紅花は生き生き花を咲かす、誠にお着物好きにはありがたい季節ですね。

6月に近づけば、単衣も“うすもの”に。やがて絽、紗、麻、上布・・・季節の移りに合わせて、装いの楽しみは尽きません。
盛夏を前に、柔らかで軽やかな“うすもの”のご紹介です。

着物っていいなぁ〜と女に生まれた喜びを、ぐーんと感じるなんとも繊細な美しさ!

写真上:23−05−52 縦絽筧に秋草単衣5つ紋 裄1尺7寸、身丈3尺9寸5分 44,000円

23−05−60 間垣に萩とトケイソウ名古屋帯 66,000円

写真下:23−05−12  藤紫地秋草の付下げ 裄1尺7寸3分、身丈4尺1寸 66,000円

21-08-08 花々絽縮緬名古屋帯 88,000円

ひと悲します恋をして 鈴木真砂女と銀座の柳

“銀座の柳”はよく耳にする言葉ですが、銀座の街並みに柳は少なく、灯屋2のご近所柳通りにわずかにその名の面影を残しています。この柳は少々頼りない風情で、幽霊も二の足を踏みそう!

その柳通りをちょっと入ったところに「幸稲荷」さんが鎮座しているのをご存じの方も多いことでしょう。その路地に俳人鈴木真砂女(1906〜2003)の小料理屋「卯波」があった。はず? 何度か覗いてみたが再開発されたビル群のどこにその小さな店があったか、定かではありません。老舗の大旅館の女将から小料理屋の女将へ、年中着物で通した真砂女の句には、食べ物と並んで着物の句がたいへん多いように思います。

   商売の書き入れ時や単衣帯

   夏帯や運切りひらき切りひらき

   夏帯をきりりと締めて病まぬなり

   夏帯や泣かぬ女となりて老ゆ

   衣更てこののちとてもこのくらし

そして

   羅(うすもの)やひと悲します恋をして

   羅(うすもの)や細腰にして不逞なり

「ひと悲します」恋の果て、ほぼ身一つで家を出され、俳句仲間からの借金で、銀座に小料理屋卯波を開店したのは真砂女52歳の時。2kの公団住宅に住み銀座に通い、商売に励み、句作に励んだ生涯。

   ある時は船より高き卯波かな

   己が手でひらきし運や衣更

7歳下の恋人の急死は70歳の時。一度の見舞いも許されなかったという。

   白桃に人刺すごとく刃を入れて

   秋袷悪女の汚名いまだ消えず

松屋銀座のお歳暮の宣伝に起用されたのは87歳。地下鉄にも貼られたポスターは大評判であったそうです。その写真の背景にも柳が揺れています。柳は見かけよりずっとしぶとく強靭な植物といわれますが、小柄で華奢なまさにこの人のよう。

   今生のいまが倖せ衣被(きぬかつぎ)

   かねて欲しき帯の買えたり鳥雲に

   女には欲しきもののみ柳散る

こういう気持ちは女でなくてはわからない、と真砂女も語っています。自身思いあたる方は多いのでは?かく言う私もその一人。

柳の着物、柳の帯で、さっそうと薫風の中、銀座を闊歩する・・・これも、女にしか味わえない至福。真砂女にも琉球柄の白の単衣?を着て5月末の銀座を歩く素敵な写真が残っています

写真上 水紋に枝垂れ柳の付下 23-05-16  88,000円

ベージュ燕帯 22−01−37 80,000円

写真下  絽手書き夏草着物 33,000円

23−05−45 絽柳に撫子鷺の帯 132,000円 (全て税込)