アトリエ便り」カテゴリーアーカイブ

江戸小紋の秋ーアトリエより

インスタでもご紹介しましたが、この秋には江戸小紋をたくさんご紹介できます。
目下、解いて洗い張り、見積もりの作業に入っています。

何せ200年の時を重ねてきたので、強者といえども色やけや傷チェックに追われます。
それからサイズのこと。ほとんどが、断ち切り4尺なので悩みます。


幸いにも江戸小紋の特質上継ぎ目がほとんどわからないので、灯屋2のマジックで、なるべく大きなサイズになるよう思案を重ねています。アトリエスタッフの苦悩が、お客さまの喜びとなれば嬉しいです。
羽織もしゃれた裏地を探すのに一苦労しています。

この秋に展示会を予定しておりまして、そちらでのお披露目となりそうです。

詳細は決まりましたらご案内させていただきます。

木屋ゴールドの裁ちバサミで龍郷締機の糸を切る

実は今、奄美にいます。全国高等学校総合文化祭の郷土芸能部門で太鼓芸能部全国大会の追っかけを、ふとしたことからやっています。
所がこの台風で、小さな島が大きなことに巻き込まれて大変なことになってしまいました。
2000人の人たちが右往左往していますが、でも、島の人たちの温かいおもてなしを、大勢の人たちが味わっていると思います。

所でもう一つの理由は奄美の大島紬です。絣糸を作る締機をこの目で見て確認したかったのです。龍郷の町は、静かで落ち着いた緑のなかにありました。そこで、本場奄美大島紬技術専門学院を訪ねてみました。


どこの何者かを名乗る前から、100%の信頼の情で接してくださいまして、まず伝統の持つ美しさに気付かされました。伊勢先生という温厚な方がこちらの質問に答えると、東さんという方が、前ですぐに作業を見せてくれる、という応対をしていただきました。

東さんはまだ入って1年に満たないというのに繊細な手付きで糸や機を扱っていましたが、ふと目の前にゴールドの裁ちバサミが目にはいりました。と同時に先生が、彼はこれを上手に扱うんですよ、とおっしゃる。ああ、このハサミの場があった、そして彼に似あってる。この先生にしてこのお弟子あり、東さんの行く末が楽しみです。締機は、量産のために考案されましたが、依頼、絣の技術も格段に進化して、紬糸から生糸に変わることによって、より緻密に繊細になっていきました。

昭和の中期に入って宮古上布にもこの技術が入って琉球の染織が最盛期を迎えることになります。

やれやれ無事に戻ってまいりました。さあ、仕事!
渋谷

 アトリエ日記

いつもご愛顧賜り、誠にありがとうございます。

銀座店白井より、アトリエからお知らせいたします。

2023年1月より、銀座店への出勤が、火曜、木曜、土曜の3日に変わり、お目にかかる事が出来ていないお客様からお問合せ頂きました。

感謝のかぎりです、とても、うれしかったです。

本当にありがとうございます。

銀座店に不在の日は、アトリエでHPの情報を発信する、仕事をしてます。

皆さまの装いへの情熱を感じながら、相変わらず、元気にいます。

これからも灯屋2へ変わらぬご愛顧賜りますよう御願い申し上げます。

徳永を新店長として、銀座店スタッフ一同、力を合わせて、お客様より、ご満足の笑顔をいただけるよう、心を込めてお迎えさせていただきます。

また、銀座店でお目にかかれる際には、どうぞ、接客させてください。

1月中は、お年賀の半衿プレゼント、そして、お買い上げ価格10%の灯屋2クーポンを進呈いたします!有効期限も2年間有効です。

皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げます。

 

灯屋2銀座店

中央区銀座2-6-5 アサコビル2階

03 3564ー1191

定休日 水曜日 営業時間11時〜19時

ピンクッションを100個おさめました

 

ピンクッション100個納めました

いつも、制作にボランティアでお手伝い頂いている皆さまに心より感謝申し上げます!!

 

灯屋2では、ウクライナ支援活動の一翼として、浦野布ピンクッションをお買い上げ頂いて、その売り上げ全額を寄付していますが、この度、ある会の記念品として100個の注文を頂きました。

かわいいシールもできあがって、今日は嬉しい出荷の日です。

浦野理一の裂を譲り受けて、早や10年位経ちますでしょうか。

お陰で私たちは多くを学び、多くの出会いがあり、多くの感動を頂くことができました。

その感謝の気持ちを、今こうして、少しでも表現できることが、皆で力を合わせて実現できて、嬉しく思っています。

浦野の布がある限り、作り続けていきますので、ご支援よろしくお願いします。

店主渋谷、灯屋2アトリエ、店舗スタッフ一同

 

*ピンクッションをご希望の際には、銀座店においております。

ご遠方からのお買上、募金へのご協力を希望される、また、縫い縫いボランティアにご参加希望される方が、いらっしゃいましたら、どうぞ、ご注文、お声かけください。

ご注文は、HP商品紹介右上の銀座店お問合せフォームよりお願いします。

灯屋誕生物語?

 

15日発売の月刊「ペン」で紹介頂きました。
ジョンレノンが旅立つ前の2年間、ジョンとヨーコがわたし共(わたしと連れ合い)の良い理解者であり、良い支援者だったと思っています。それはアッと言う間のできごとでしたが、今振り返ってみれば、熱いメッセージを残してくれたできごとなのかも、とも感じています。我々の前にいるお二人は、美しいものに共鳴したり、譲り合えなかったりの普通の人たちでした。
それで、わたしたちも自然に接するすることができたのでしょう。
彼らはその時「今のじゃなくて、日本の着物にはもっとほんとうに綺麗なものがあるはずだ、と、ずっと探していた」と。そしてヨーコさんは、「あなたたち、いい仕事をしてね。」と、エールをくれました。

あれから40年、灯屋2もなんとか今まで歩みを続けて来ることができました。
そして今回の取材を受けて、久しぶりにあの頃を振り返ってみますと、逆に着物という日本の衣装のこれからが気がかりになってきました。
灯屋とは、伝統工芸のともしびを伝えていくことを仕事にして行こうと始めたものですから、着物から、生活雑器、古美術品に至るまで、日本の工芸が素晴らしすぎて休む間もありませんでした。
でもまだしばらくは、この道を皆さまと一緒に歩んで行けたら本望です。 渋谷

 

アトリエより年末のご挨拶

インドの布たち

2017年の銀座店の営業は、昨日を持ちまして終了いたしました。
みなさまのご声援を頂いて、最後まで走ってしまった1年でした。

1年間いろいろな商品を皆様にご覧頂きましたが、インドに出かけて仕入れてきた布たちが、まだ出番を待っています。

ウールのカシミール羽織は何点か年末に店頭に並びましたが、美しいベナレスシルクや、カンタワーク、ブロックプリントのサリーは年明けとともに、作業にかかる予定。

インドの布たちそれらが着物や帯となって、皆様にお目にかかるのは、1月末頃かと。
ご期待にお答えできるものと、今からワクワクしております。

お正月の銀座店では、その前にも楽しい企画をして、皆様をお待ちしていますので、ぜひお立ち寄りください。

今年1年のご愛顧ありがとうございました。
新年もどうぞよろしくお願いいたします。

灯屋2アトリエスタッフ一同

灯屋2で社員研修の為、臨時でお休みをいただいている事があります。
その時は、染色や織り物の工房へお願いして、お話を聞きに伺い、見学させていただいております。
実際に拝見すると工程もよくわかり、お客様へお伝えする事も出来きる有難い体験。
臨時休業の際、ご来店下さったらと申し訳ない気持ちにもなりますが、スタッフとしては毎回楽しみにしているのも正直な気持ちです。
どうぞ、ご了承ください。

今回、江戸川区にある松原染色工房にお邪魔させていただきました。
松原工房は、大正13年より続く、長板中形の染色工房で昭和30年に、故・松原定吉氏が、国の重要無形文化財指定を受け、ご子息である福与、八光さん、現在も、与七さんを中心として続く長板中形の伝統ある工房です。

長板中形は、三間半(約6.4メートル)の長い貼り板に木綿生地を貼り、型紙を送りつなぎ、防染糊で型付けして、本藍につけ染めることにより出来上がる日本の伝統染織工芸のひとつです。
もちろん、この緻密な手仕事には、長年の経験と技術が裏付けされている事は言うまでもありません。
写真は、

型紙拝見

 

貼り板の上に柿渋で手彫りされた型紙をおく作業を
スタッフ全員が覗きこんでいるところ

伝統の美しさを生み出す数々の道具藍の入った壺

 

大切な道具類、驚くべきたくさんの藍壺
(木の蓋をしてあるのも全部、藍の壺です!)

染めあがった布は空気に触れることで…緑から藍色に

 

実際に藍に白生地をつけて染め上がった布がまさしく碧から藍色に変化して行く様子など…
(藍は、空気にふれる事により、神秘的に変化してゆきます)

それにしても、美しい長板中型染です。

その美しさにはいくつかの要因がかくれていますが、藍の美しさはもちろんの事、民芸運動・柳宗悦氏の「手仕事こそ、品物に美しい性質を与える原因・心の仕事」という言葉が、しっくりくるような感じがします。

長板中形は、主に浴衣に用いられてきましたので、浴衣のあり方が変わってきた現在、昔のような需要はなくなりましたが、灯屋2では小紋や付下、訪問着など、松原工房作のお着物のお取り扱いございます。
ぜひ、ごらんください。
 
松原工房作の絹紅梅の中形染先日もお客様が、当店でお買上の松原工房作の絹紅梅の中形染をお召しになってご来店くださいましたので、お写真を撮らせていただきました。

ありがとうございました!

白井

韓国のポジャギ

ポジャギ一枚の布にしたポジャギです。
ポジャギは韓国の言葉で包む布の固有名詞。
日本の風呂しきのようなものですがその用途は最も多く包むだけでなく、運ぶ、飾る等日常生活に欠かせない必須品でした。

ポジャギの材料は麻、木綿、絹が主で服、布団等に使わった残布や古くなった布の再活用に使用されました。

今回のポジャギは麻で作られて繋ぎの形、細かさを見て古くなった残布を再活用したものではないかと思います。
何日もしくは数ヶ月、数年集めた小さい布を一針、一針を表と裏、どちらでも縫い代が同じ特独な繋ぎ方で一枚の絵のような布になっています。

子供の時、外から家に戻ると、台所には蒸した芋の上に小さいポジャギが被ってました。
真夏日風通しと虫除けの為だと思いますが、飾り気ない台所を一時美しい空間にしようとしたおばあちゃんの気持ちかも知れません。
一時代の前の韓国の母親達は、物と時間を大切にしながら地道な作業を愉しんだのだと思います。

明後日30日からの展示会でポジャギの帯を展示します。
素朴な麻、透ける絹のポジャギが創る美しい造形美を楽しんでください。

アトリエ 森

アトリエより 「雪さらし」

「雪さらし」三月も半ばを過ました。
灯屋2代々木店では、卒業式シーズンもピークを迎え、連日袴姿のお嬢様達の笑顔が眩しく輝いております。
その一方でアトリエでは、単着物の用意も着々と進行しています。
お客様を思い浮かべながら、一枚また一枚と仕立て上げていくのは、スタッフ一同の喜びです。
常に新鮮な布との出会い感動を、お伝えしたいと思います。

先日、越後上布の故郷である新潟県魚沼市より、「雪さらし」をお願いしていた反物が戻ってきました。
「雪さらし」とは、雪上に広げた布が太陽の紫外線を浴びると、溶けた雪のオゾン効果によって漂白されるものです。
白い雪原に整然と反物が並べられた光景は、雪国の風物詩としても知られています。

自然の力を利用した伝統的な手法の出来を、楽しみにしていた私達です。
美しく蘇った麻の上布を見て、感嘆の声があがりました。
綺麗になっただけでなく、雪の香りが漂ってくるように、しっとりと冷たく柔らかい感触。
麻とは思えないほど、しなやかでなめらかです。

そのわけを、「雪さらし」をお願いした魚沼市の古藤政雄さんに、電話でお聞きしました。
水分を程よく残し、麻の繊維を知り尽くした、産地ならではの仕上げ方法とのことです。
自然の豊かさと人間の知恵、丁寧な手作業の素晴らしさ。
アトリエの布は、故郷で雪の上で大きく伸びをするように疲れを癒し、手入れされることで本来の魅力を倍増させました。

盛夏の装いは、真冬の作業で支えられていることもよくわかりました。
四季の恵みはありがたいです。
皆様もこれから上布に袖を通した時に、「雪」を感じて下さいね。

海老沢

お世話になった皆さまへ

お世話になった皆さまへ灯屋2にお世話になってから、11年という月日が流れてしまったこと自分でも驚きを感じます。

これからは、自分の仕立てのお仕事を充実させると共に、今までしたかった勉強(?)もしなくてはと思っています。

こちらにお世話になってから、ほかの仕立物では味わえない様な驚きと発見をさせていただいた事は私にとって宝物となりました。

アトリエ勤務にとどまらず、銀座店でお客様とお話させていただき、皆様とご一緒のお時間を過ごせた事も本当に楽しく素晴らしい思い出です。

振り返ると、色々な事が思い返され、あれもこれも楽しかったと思いは果てしなく続きます。

「物が言葉を言ったなら。」

灯屋2店主、渋谷公子のご主人であり灯屋オーナーの渋谷新三郎氏から昔聞いたお話です。

「物は言葉を言わないけれど、言葉を発したらなんていうんだろうね。」

私を含め、物を作る者には必ず道具が必要です。

その『物』たちは、使い手である『者』たちをどう思っているのか。

「良い仕事をしているね。」とは言われなくても「頑張ってるね。」くらいは言ってもらえるでしょうか。

共に働いたスタッフ、納期を急かしては引き受けてくれた外注の方々、そして私が使っていた道具にも感謝して最後は笑顔でお別れしたいと思います。

泣いて笑って過ごした日々も、もう残りわずかです。

良い出会いは人生を素晴らしいものに変えてくれます。

そしてこれからもそのような出会いが、私にも皆様にも1つでも多く訪れます様に。

皆様どうぞお元気で、そしていつかどこかでお会いできたら嬉しく思います。

気が向いた時に私のHPも覗いてくださると嬉しいです。

最後は宣伝ですみません(笑)

『仕立屋 凛』

2013年12月 栁 裕子