「流れる」にみる名妓の着こなし

「流れる」久しぶりの「映画の中の着物シリーズ」です。
細々と続けていますが、お客さまから暖かいお言葉もいただき、たいへんありがたく感じております。
また映画好きのかたに、私も未見の名作を教えて頂き、楽しみに探しているところです。

古い日本映画のなかの美や文化を、これからも皆さまと共感出来たら嬉しいです。

「流れる」
監督 成瀬巳喜男
原作 幸田文
出演 田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、岡田茉莉子、杉村春子、来島すみ子、他

この映画は必見中の必見!
何度見ても、新しい見つけものがある映画です。
舞台は花柳界の置き屋さん。
そこに住み込女中さんが、働き始めるところから始まります。
原作の小説では、しろうとである女中が、くろうとの女性を鋭く観察する様子が描かれています。
この映画では、女性の美しさ哀しさが際立ちます。
素晴らしい映像美。
人生経験を積むほどに、しみいる感動が味わえるでしょう。
くろうと女性の日常の立ち居振る舞いの見事さ。
年齢と経験でこそ、身に付く色っぽさです。
帯もちょっと斜めのお太鼓姿。
名妓である女主人は、まるで自分自身の華を知り尽くしているように、あっさりとした縞や暈しの着物が似合います。
そして流れゆくいきざまを悔いもせず、見つめる眼元はどんな濁りも涼しく変える強さ。

ほんとうの色気というのはそういうものなのでしょう。

ご紹介するのは、着尺の江戸小紋。
お手軽価格となっております。
抽象柄の帯で、引き算気味に着こなしてみて下さいね。
ご自身の華を、引き立てる装いとなるでしょう。

角通し着尺に浦野範雄 焼き箔名古屋帯角通し着尺
角通し着尺 59,400円 
浦野範雄 焼き箔名古屋帯 108,000円


毛万筋着尺に水紋織り袋帯毛万筋着尺
毛万筋着尺 59,400円
水紋織り袋帯 21,600円

海老沢