志村ふくみー母衣(ぼろ)への回帰ー
志村ふくみ・・大正13年(1924)滋賀県近江八幡市生まれ
平成2年(1990)に紬の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される
今年2月、京都からはじまり、沖縄、そして東京世田谷美術館で11月6日に幕をおろした志村ふくみさんの文化勲章記念展示。
「母衣(ぼろ)への回帰」は、新作に寄せる「母から受け継いだ紬の原点に立ち返って」という志村さんの思いからなるタイトル。
晴れやかな最終日にきもの好きの仲間達と行ってきました。
美術館内には、志村さんが、織られた紬を間近に見られるお客様の歓びで、静かなる熱気が、あふれていました。
このたびの展示会は、志村さんの代表作を中心に、初期作品から、今回の為に織られた最新作、また、織物をはじめる影響を受けた、ご母堂・小野豊さんの作品など、志村ふくみさん創作活動60年のあゆみが、一堂に展示されていました。
なかでも、昭和32年(1957)伝統工芸展への初出品で入賞した初めての作品と民芸運動に共鳴して織物を習い始めたというご母堂・小野豊さんの作品を拝見出来た事は、とても貴重な体験でした。
はじまりに展示された無地紬は、心をほっとさせてくれる自然のあたたかな色。
照明が、暗いのは、「演出?」と思いましたが、天然染料への配慮から、ライトを強くしていないと聞き、またそれが、幻想的で、どこかちがう世界に迷い込んだような感覚になりました。
灯屋2でもこれまで志村ふくみ作品を、お着物で20作品以上お客さまにお手渡ししてまいりました。
どのお着物も精魂こめて作られた、輝きを持っている素晴らしい物でした。
今回の展示作品の説明にも昨年、2015年作成の文字が、たくさん見られました。
湧き出してくる、ますますの創作意欲で美しく、力強い紬を織りだしていかれる志村ふくみさん。
灯屋2もまた、新しい志村作品との出会いへと希望が、ふくらみます。
自然から頂いた繭を紡いで作られる着物。
その宝物を纏うしあわせに感謝して、これからの紬の季節を楽しもうと思います。
白井