緻密に織られたとても貴重な織物。
鳥巣水子作・縦紋織りの紬袷です。
このお着物は、丹精な美しさの上に明るく、おおらかでとても澄んだ心地良さを感じさせてくれます。
鳥巣さんのお人柄が、布の持つ魅力となって、語りかけてくれているのかもしれません。
太い縞の中には、藍の濃淡で色分けされた正方形の四つ格子。
小さな正方形の中には、まるで空の水色が、海の深い藍色まで続いていくような、沢山の藍色がちりばめられています。
ルーペで覗くと、志村ふくみさんの言葉のように「完璧な技術を駆使し、少しのわずらわしさも無く、余分な装飾がない」細かな紋織りが、まっすぐに続いています。
鳥巣さんが幼児期をすごしたという、長崎県五島列島の自然への恩恵が、この布の中に輝いているように思えます。
鳥巣水子 1970年、40代半ばより子育てを終え、織りの道へ。
志村ふくみ、北村武資両氏に師事。
琉球王朝時代の花倉織り・花絽織りが、代表的作品。