普段、帯の仕事に携わっている私にとって、今回の社員研修旅行は大変勉強になりました。
研修の目的で訪問した中で、特に印象的だったのは「織成館」です。
西陣織を見学し、唐織の手織り技法、というものを知りました。刺繍のように浮織した文様で、豪華な能装束や帯に使われていると聞きました。
かつて、180人ほどの職人がいたとされましたが、現在は10人くらいまで減って、大変貴重な織手となっています。
19世紀頃、フランスのリオンでジャカード式が誕生し、西陣織りの織手の3人が現地に行ってその技術を学び、日本へ持ち帰って、日本独特の繊細な技術を加えました。
それまで3~4人がかりで織られた高機などが、ジャカード式によって1人で織れるようになりました。とは言え、1cmに横糸30本もを使い、その1本1本に色糸を手でからげていく作業には感嘆と敬服を覚えます。
ジャガード式とは、あらかじめ決めたデザインに添って色糸をからげるための横糸を揃えて教えてくれる操作をする、カード式の高機の補助具と理解しましたがいかがでしょうか。
研究を重ねて、現在では世界の業界を魅了する日本の代表的な織物となりましたが、原材料となる絹糸の生産が、日本ではほぼ生産できなくなっている現状や、織り手不足によって、本西陣織の未来は色々な問題をかかえています。
しかし、今回出会った織り手達の姿勢と情熱を、西陣織を愛する私たちが後押しして、この織物が末長く続いていく事を願って止みません。
森