小紋柄に裾模様が入った、大正から昭和にかけてのきものを散歩着と言います。
お嬢様のおしゃれな外出着として、さまざまな趣向を凝らし、当時では時代の先端を走るモードのようなきものだったのでしょう。
お散歩着といえば、今見ても感嘆のため息が出る、斬新なデザインの美しい衣装たちばかり。
誰よりも個性的なお洒落を競い合う、お嬢様たちの姿が浮かんでくるようです。
縮緬の柔らかい風合いの裾には、菊と散らされた短冊に梅が描かれ、お正月にもちょうど良い柄ゆき。
帯は、躍動的な刺繍のうさぎ。
うさぎは、ツキ(月)を呼ぶ、また、前にしか進まない等々、縁起のいい動物です。
お散歩着の裄は1尺6寸5分(62.7cm)と短めですが、とろりとした昔の縮緬の生地は肩からすとんと落ちるので、実寸より裄は長く見えます。
「半衿は耳のしたから出す」と習いますが、ここは耳の下でも少し多めに衿を出して掛衿も少し太めにすると、だいぶ手首を覆ってくれるのではないでしょうか。
腕の長い現代の女性でもあきらめずに、着方の工夫でぜひ、素敵なお散歩着に挑戦してみていただきたいと思います。
短冊に菊散らし文散歩着 (着物14-9-24) 108000円
身丈:4尺2寸(約159.6cm) 裄:1尺6寸5分(約62.7cm)
流水に兎刺繍名古屋帯 73000円
松田