「こうげいを探る」展が間もなくはじまります。タイトル「こうげい」の源は、白洲正子(1910〜98)がかつて銀座8丁目で、1955〜70年のほぼ10年にわたって経営に携わった染織工芸店「こうげい」に由来します。今回の「こうげいを探る」は、“灯屋2”流の、現代の美とセンスを駆使して、集め再生した逸品を展示し販売する企画展です。
白洲正子は、戦後、昔の職人の技に作家の美的芸術的センスを加えた工芸家という新しいジャンルが生まれた、と記しています。白洲正子の厳しい目で選ばれ鍛えられた白洲正子好みの作家たちのうち、今回ご覧いただけるのは、
柳悦博、古澤万千子、田島隆夫、片野元彦、菊池洋守
などの作品です。それに灯屋好みのコーディネートを施した豪華な取り合わせです。
会場でどうぞご堪能くださいませ。
白洲正子さんの晩年、能楽堂の見所で何度かお見かけしました。イッセイミヤケを着こなし、古代ガラスと思われる指輪、大柄な目立つ容貌のチャーミングな方でした。その目はいつも好奇心に満ちているようで、八十歳を超えておられたと思いますが、さすが“韋駄天夫人”と呼ばれた面影を十分見せておられました。
自宅の武相荘にお気に入りの客人を招いて団欒の一時を持つのを楽しみになさっていたようで、女主人の体調が悪い時も、酒と肴が用意され、客人は勝手に談笑されていたとか・・・男友達の一人、免疫学者の多田富雄さんから直接伺ったことがあります。亡くなる時も自身で救急車を呼び、入院してそのまま亡くなられた、見事な最期であったと聞いています。