朝、夕の少しひんやりした風が、心地よいほど、日中の陽射しは、いよいよ夏へと向かっています。
「6月になったら麻を着ましょう!の呼びかけをしています。」と
数年前、小千谷縮みの織元さんよりお伺いしました。
この体感温度では、麻の着物に換えていくのは、大賛成!
ただし、麻も楽しみながら、この季節の醍醐味でもある単衣をご紹介させて頂きます。
着物文化の豊かな時代には、単衣時期専用の織物がありました。
紋錦紗という、まさしく羽衣のような美しい布です。
夏をはさんで6月、9月に纏う単衣。
もちろん単衣専用の布は紋錦紗だけでは、ありませんが。
お出かけの少し華やかな装いを満喫していただくには、錦紗の単衣を楽しまなきゃもったいないほどの素敵なお着物です。
他に類をみないのは、軽やかでしなやかな着心地。
錦紗は、袷にもお仕立てされますが、ご紹介致しますのは、繊細で伸びやかな糸で柄が織り込まれた透け感のある紋錦紗です。
当時、日本で用いられていた繭は、小石丸。
みずみずしい桑の葉を食し、外来種の繭より小さく、絹の都と世界中から賞賛された日本の素晴らしい絹糸で織られたたおやかな、素晴らしい布です。
当時のままの状態ではなく、当店では、洗い張り、お仕立て直しを
して多数ご用意しております。
美しい配色の葦の葉が、描かれた水辺の風景。
着物の中には、ゆったりと流れる河。
地紋の水面いっぱいに小さな撫子の花が、織り込まれています。
源氏物語では、夕顔の娘「たまかずら」を象徴する撫子の花ですね。
常夏に向かうまさしくこの時期にお召頂きたい一枚です。
この他にも様々な錦紗の単衣を取り揃えております。
ぜひ、ご来店の上、手で触って、纏って、ご自分だけの特別なお着物をお選びください。
水辺の景色撫子の流水と葦の小紋70,000円+税身丈4尺5分裄1尺6寸8分
葉陰の鳥刺繍名古屋帯75000円+税